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Dr.コラム
中年男性が気になる前立腺肥大症
2006.12.29
前立腺肥大症とはどんな病気ですか?
前立腺は男性だけにある生殖器官の一部で、 膀胱の出口のところの尿道を取り巻くように存在する栗の実に似た形の臓器です。
精液の一部である独特の匂いのある前立腺液を分泌し、 精子に栄養を与える役目をしています。前立腺肥大症は、 年齢とともに前立腺が大きくなり尿道を圧迫するために、尿が出にくい、 尿が細くなるなどの症状が現れる病気です。
原因はよくわかっていませんが、加齢によるホルモンバランスの乱れが関係するといわれています。 前立腺肥大は70歳の男性で約70%、百歳まで生きるとほぼ100%というように、 年齢の数字と同じパーセントでみられるといわれています。 ただ前立腺が大きくても症状のみられない人も少なくありません。
実際にはどんな症状がみられるのでしょう?
典型的な症状は排尿障害です。
具体的にはオシッコをしようとかまえてから 尿が出るまでに時間がかかる状態や、 尿が出はじめてから終わるまでダラ ダラと時間がかかる状態です。
公衆便所で自分が排尿し終えるまでに隣の人が 2〜3人入れかわるようでは要注意です。
こうした症状は意外と自覚していない人が多いのです。
自分では何でもないと思っていても詳しく 調べると尿の出が悪いのが見つかり、 過度の飲酒など不摂生をして尿が全く出なくなる 尿閉の状態になってはじめて気づく人もあります。 総合感冒薬、咳止め薬、胃薬、神経の薬など 排尿を抑制する薬がきっかけになることもあります。
尿閉になると七転八倒の苦しみですし、夜間頻尿もみられ、 長く放置していると膀胱に尿が残って 尿がチビチビと漏れたり(尿失禁)、 腎不全になることもあります。
これらの症状は、前立腺肥大症に特徴的というわけではなく、 前立腺がんその他の病気にもみられます。
前立腺がんとはどう違うのですか?
前立腺肥大症と前立腺がんはまったく別の病気です。
同じ前立腺でも発症する場所が異なり、 前立腺肥大が進行しても前立腺がんになることはありません。 ただ同じ年代の男性にみられますから、前立腺肥大の検査や手術の際に 前立腺がんが見つかることもまれではありません。
前立腺がんはほとんど症状がなく、排尿障害を自覚した時には 進行した状態で発見されることがほとんどです。
前立腺がんを早期に見つけるためにも、 男性は中高年になったら一度は泌尿器科を受診してほしいですね。
どんな検査をするのですか?
肛門から指を入れて前立腺に触れる直腸診が一般的ですが、 その他に前立腺の大きさをみる超音波検査や尿の出かたを調べる尿流検査などを行います。
同時に血液検査で前立腺がんの疑いがないかどうかも調べます。
治療法にはどんなものがありますか?
当院で行っている前立腺肥大症に対する手術には以下のものがあります。
・
経尿道的前立腺切除術(TUR-P)
・
経尿道的前立腺レーザー蒸散術(HoLAP)
・
尿道ステント留置術
・
前立腺被膜下摘除
経尿道的前立腺切除(TUR-P)
手術療法の中で現在のところ最も多く行われている治療です。 下半身麻酔を行い尿道からカメラを挿入し、電気メスで肥大した前立腺を削り取ります。
開腹手術に比べると短時間(約1時間)で手術が終了します。
また、お腹に傷がつきませんので術後の痛みが少なくてすみます。尿道に管が術後3日間入ります。 管を抜いて術後5日目で退院できます。
経尿道的前立腺レーザー蒸散術(HoLAP)
最新の前立腺肥大症の手術です。
下半身麻酔を行い尿道からカメラを挿入し、レーザーを使って肥大した前立腺を蒸散させて 、尿の通り道を広げます。
日本では始まったばかりの治療ですが、海外では多くの患者さんが治療を受けており、 経尿道的前立腺切除(TUR-P)と同等の治療効果が望めるという報告があります。
TUR-Pと比べると手術時間は若干長くなりますが、術後の痛みや出血が少なく、 尿道に管を入れる期間も術後1日のみです。今後発展していく可能性が高い治療です。当院では他施設に先駆けてこの治療を 導入しています。
尿道ステント留置術
前立腺部尿道に特殊合金でできた管を挿入する治療です。
経尿道的前立腺切除術(TUR-P)や 経尿道的前立腺レーザー蒸散術(HoLAP)の手術と異なり下半身麻酔が不要のため、 全身状態が悪い方でも行えます。
しかし、異物が体内に入るため感染の原因となったり、トイレが近くなったりします。 超高齢者や重度の心疾患などで他の治療が困難な方で行う場合があります。
前立腺被膜下摘除
お腹を切って肥大した前立腺を摘出する方法です。
非常に大きな前立腺肥大症の場合は経尿道的前立腺切除術(TUR-P)や 経尿道的前立腺レーザー蒸散術(HoLAP)の手術では時間がかかったり出血が 多くなることがあるため、お腹を切った方が安全です。
どの手術が良いかは病状によって違います。外来で検査の上一番合った治療法を説明します。
気になるときはどうしたらいいでしょう?
私たちの病院では経尿道的前立腺切除(TUR-P)を中心に多くの前立腺肥大症の患者さんを治療してきました。 しかし前立腺肥大症は良性の病気で、仮に前立腺が大きくても 必ず手術しなければならないということはありません。
要は症状との天秤で、前述のような多くの治療メニューの中から、 医師と相談の上で自分の症状や生活状況に合ったものを選べばいいのです。 そのためには、泌尿器科を専門とするお医者さんがいる 病院や医院を受診されることをお奨めします。
それだけ治療の選択肢の幅が広いからです。
前立腺肥大症が気になる人ばかりでなく、 男性は50歳を過ぎたら一度は泌尿器科を受診していただきたいと思いますね。
当院は、泌尿器科専門医です。
ご心配事等ございましたらお気軽にご相談下さい。